人形の目

「人形の目」という医学用語がある。
頭を持って急に左右に回すと目が頭の動きと逆に動くように見えるという現象が脳の障害の診断で使われている。
正確には、頭を動かしても目は正面を見たままで一緒に動かず、顔が向いた側と反対を見つめているように見えるということである。
この現象を表すのが「人形の目」という言葉である。
健常人ではこの現象を示すが、脳の障害がある人は目が頭と一緒に動く。
これは、頭の位置が変わったという情報が伝わらず、目を動かす(正面を見たままにする)指令が出なかったためだと説明されている。

頭の位置をチェックしているのは、耳の奥の内耳という場所にある平衡器で、半規管と耳石器という2種類のセンサーである。
(半規管が3つあるため一般的には三半規管といわれるが「三半規管」という器官はない)
この情報を処理しているのは脳幹で、目を動かす筋肉の反射回路に繋がっていて、頭の位置に応じて目を動かす仕組みになっている。
この反射回路がなぜ必要かは顔を動かせばすぐにわかる。
仮に顔が動くときに一緒に目も動いてしまうと、見ているものが揺れてしまって困るのだ。

この「人形の目」という言葉を、先日の美立教室で紹介しようと調べていて、自分は長らく間違えて覚えていたことに気づいた。
日本人形のように顔に目を描いた人形を連想していて、頭を右に向ければ目も右を見るのが「人形の目」だと思っていた。
だから患者さんの目が頭と一緒に動いているのが「人形の目」という現象で、異常所見を表す言葉だと思っていたのだ。
しかし、教科書を見ると「人形の目」は、冒頭でも説明した通り正常な所見を表す言葉であった。
そもそも「人形の目」という医学用語は英語の”doll’s eye”の訳であり、西洋の人形の頭を急に左右に回すと目が逆に動くように見える様子からきた言葉なのである。

私の誤解だったのだが、日本人形では目は動かないが、西洋の人形の目は動くものなのだそうだ。
そこで、西洋人の常識では人形の目は動くものなのかとかという疑問が浮かんだ。
マトリョーシカや素朴な布で作った手作りのものは顔に目を描いたものではないか、機会を探して英語の達人に聞いてみたいと思った次第である。
人形に詳しい人、人形の目について知っている人は教えてほしい。

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人形の目 への1件のフィードバック

  1. admin のコメント:

    コメント欄がクローズになっており、別途コメントをいただいていたのでご紹介します。

    アンティークドールの目は、色々なタイプがあるようです。
    ドイツ人形によくある吹きガラスのブロウアイ、
    ガラスで出来た文鎮のように作ったペーパーウエイトアイ、
    寝かせると閉じるスリープアイ、これは私が子供の頃持っていました。
    上下左右に動くフラーティングアイ、これは寝かせると閉じる他、頭を傾けると左右に動くそうです。
    目を石膏で固定したセットアイ
    など。
    フラーティングアイは横目が特徴です。

    広島には、人形と言えば、三次の奥田元宋・小由女美術館に展示されている小由女夫人の作品がありますが、目がどうなっていたかわかりません。

    わたくしの今日の調査は以上です。
    他に詳しくご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。

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