美立教室10月のテーマ

10月の美立教室のテーマ はふくらはぎです。
ふくらはぎのことを昔の言葉ではこむらとかこぶらといいます。
こむら返りはスポーツ障害だけでなく、中高年にも多く見られる病態です。
とくに、冬になると明け方にけいれんして困る人も大勢います。
この対策も兼ねて、ふくらはぎについて述べていきます。

ふくらはぎは下腿の後ろに膨らんでいる部分です。
皮膚の下に触る筋肉を下腿三頭筋といいます。
二層になっていて、表層には内側外側の腓腹筋が膝を越えて大腿骨についています。
腓腹筋の下層はヒラメ筋です。
魚のヒラメのようだということでその名前がついています。
ヒラメ筋は腓骨脛骨に着いて足関節をまたぐ一関節筋です。
腓腹筋は膝と足関節をまたぐ二関節筋です。
二関節筋のほうが複雑な調整を必要とするのでけがや障害が多いといわれます。
ヒラメ筋の下にまだ筋肉が並びます。
後脛骨筋、長母指屈筋、長趾屈筋です。
足指を曲げる筋肉ですが、地面をつかむ、押す筋肉です。
歩くとき走るとき働きます。

ふくらはぎの太さを測ってみると首と同じなのでやってみましょう。
親指と中指の間を広げて左右の手で輪を作ります。
この輪の中に頸とふくらはぎを入れてみましょう。
太い人は親指の間の距離で、細い人は指の重なる部分で比較できます。
太い人も細い人も首とふくらはぎの周径が同じだという人が多いのです。
これは昔からのドイツの解剖学書に書いてあったことですが、ラグビー選手で私が確かめました。
太いフォワードの選手は太いなりに等しく、細いバックスの選手も同じ太さでした。
ただ、トレーニング中の東大のラグビー選手は首を鍛えろと言われて頸が太い選手が多かったという思い出があります。
上半身と下半身のバランスを見るいい指標であると使っています。

普通、ヒトのふくらはぎは左右同じ太さです。
しかし、剣道選手では左ふくらはぎが発達して左右差がみられます。
同時に、右大腿四頭筋が太くなっています。
左側で蹴って右足で着地するためです。
しかし面白いことに、上級者になると左右差が小さくなってきます。

そして剣道選手は発達した太い左側のアキレス腱断裂をきたします。
使いすぎて疲労している状態になっていたからといわれます。
アキレス腱と連続している腓腹筋の肉ばなれは中年のテニスプレーヤーに多くみられます。
ほとんどが内側頭に起こります。テニスレッグという別名がついています。
腓腹筋肉離れとアキレス腱断裂は同じ受傷機序で起こります。
腓腹筋肉離れの治療では踵の下に台を工夫し補高します。
つま先立ちは痛くてできないのですが、ハイヒールを履いたように補高すると痛くなく荷重できる理屈は腓腹筋の緊張が緩むからです。
だんだんに高さを減らして3週くらいで腹筋肉離れはなおります。
アキレス腱断裂ではギプスを巻いて同じような考えで治療を行いますが、2ヶ月くらいかかりますので、心配な人や急ぐ人は手術を行います。

【そのほかのふくらはぎあれこれ】
委縮
宇宙飛行の研究のなかでも重力の影響を調べることは重要テーマです。
その実験モデルとなるのが尾部懸垂実験で、しっぽを縛られてつるされ、後ろ足を着けなくなったかわいそうなラットの実験です。
前足で移動することは許されています。
かなり自由に動き回って餌を食べることもできます。
しかし、数週間後、尾部懸垂ラットのヒラメ筋が萎縮する、下肢骨密度も減少することが実験で明らかになっています。
つまり、足を地面につけて使わないと、いくら動かしていても筋肉と骨は少なくなってしまうのです。

こむら返り
最初に述べた、ふくらはぎの筋肉がつる「こむら返り」とは筋肉のコントロールが効かず筋収縮し続けしてしまい、痛みを訴える病態です。
先日来た患者さんは長い立ち仕事の後、ふくらはぎが痙攣するようになった、最近では毎晩、夜寝ていて明け方つってしまう、何とかしてほしいということでした。
一般的に、冬になるとつる人が多くなります。
多くは高齢者です。若くてもなる人がいます。
おなかが大きくなって血流が乏しくなる妊婦です。
スポーツ選手も起こします。
テレビでもサッカーの延長戦などでこむら返りをおこしながら、替えの選手がいなくて苦しそうに走る姿を見ることがあります。
そして、倒れると、仲間の選手が足を持ち上げ、足裏からふくらはぎをストレッチする光景が見られます。
スポーツ障害は極端な例としてわかりやすいと思います。
私のチームドクターの経験でも、練習より試合で起こることが多く、しかも大事な試合になると起こります。
つまり、がんばって疲れると起こりやすくなります。
大事な試合だと疲労してもがんばります。
脱水も起こり、電解質異常も筋肉を興奮させます。
メンタルストレスもいわれますが、大きな試合で起こりやすいことがそれを物語ります。

けいれんが起こってしまったときどうするか
こむら返りはコントロールが効かず筋収縮し続ける状態です。
サッカー選手のような選手でしたら、仲間の足を持ち上げ強引にストレッチできますが、普通のお年寄りだととってもできそうもありません。
そんなときは、思い切り強くつかむのです。
けいれんの痛みよりも強い痛み刺激を与えるのです。
そうすると、けいれんが止まります。
それから、ふくらはぎをストレッチするのです。
足首をもって、反らしてもらう、力を加えてその力に抵抗する。
足を反らす筋肉に対しては拮抗筋である腓腹筋が緩んだらストレッチする。
というのもいいでしょう。

薬はないのか
こむら返りの特効薬として漢方薬の芍薬甘草湯があげられます。
結構効きます。
私も毎朝けいれんするという患者さんには朝晩飲んでもらいます。
すると、発作がなくなるか、時々になります。
そうしたら、起こった時に飲むようにしていきます。
けいれんしてからでも効きます。
しかし、予防としては身体の手入れです。

予防はどうするか
予防は脱水に気をつけ、カルシウムやカリウムなどの電解質をおぎなうこと、そして温めること、筋トレそして足の手入れコッキンカンマッサージです。
温めるのは、レッグウオーマー、湯たんぽなどですが、ペットボトルにお湯を入れて厚い靴下をはかせるというのがある患者さんの工夫です。
ふくらはぎを鍛えるには、おなじみのスクワットです。
そして、ヒールレイズ・カーフレイズです。つま先で立つことです。
四股でもいいでしょう。降ろすときつま先から降ろします。
四股は片足立ちして、股関節を大きく動かします。
とてもいいトレーニングですが、むつかしいのでどこかを支えにしてやりましょう。
元気な人なら、縄跳びをすすめます。
縄なしその場跳びが安全で、場所を選ばずできます。
1分もできないのではないでしょうか。
5分やれば有酸素運動としても十分でしょう。
ストレッチは膝を伸ばして腓腹筋アキレス腱を伸ばすのと、膝を曲げてヒラメ筋アキレス腱を伸ばす二通りをしましょう。

マッサージ
ここ数回紹介してきたコッキンカン骨筋管マッサージがいいと思います。
筋肉を緩めて、骨を触るようにマッサージをすると血管、リンパ管もマッサージすることになり血行もよくなるという自分で行うマッサージです。
こつは筋肉を緩める肢位を探すことです。
この場合、足を底屈(尖足位に)して緩める、膝を曲げて緩めることです。
アキレス腱を緩めて腓腹筋越しに脛骨腓骨の後面を触ってみましょう。
足裏に行く長い腱、長腓骨筋腱、後脛骨筋腱を緩んだ腓腹筋越しに尖足位で触ってみましょう
そのほか、ふくらはぎの太さは下肢筋力のみならず、体型や栄養状態といった全身的な状態との関連も報告されており、虚弱高齢者の体型・体力やサルコペニア(Sarcopenia)を評価する指標として注目されています。
栄養が最大要因といわれますが、栄養とともに正しいフォームからのトレーニングも大事なポイントだと思います。
スクワットとつま先立ちを生活習慣にしていきましょう。

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